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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

安定は畢竟、土地を基調とするのでありまして、つまり、土地に居ついたということが、人心の安定となるのであります。

与八は、この土地に居ついた心持になりました。このところ、甲州有野村、富士と白根にかこまれた別天地――ここに於て、わが生涯が居ついたという感じが出ると共に、安定の心が備わりました。そこで、居る時は即ち安心、出づる時は即ち平和であります。そうして土に居ついて働くということが即ち行持で、人に対するということが同時に教育でありました。

ここに教育というのは、ことさらに定義のある教育ではない。自分に於ては行持、それが他に反映して、教育ともなれば教化ともなるのみで、与八にあっては、教育せんがための教育の何物もないのであります。与八こそは、全く世の謂うところの教育せられない民でありました。彼は棄児ですから、家庭の教育というものがありません。机の家へ拾われてから、弾正の情けで、寺子屋教育のある部分だけを受けさせられたが、その当時の与八は、寺子屋教育の学問をさえ受入れられる素質を欠いておりました。

ナゼだと言えば、二三、人の子の集まるところへ行くと、拾いっ児だという冷たい指さしが、この男の心を暗くしたのと、天性学問が好きでなかったから、学問の庭へ行くことを怖れ且つ避けました。