Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「右へ曲げるだよ、右へ」
ところが、右と左の観念がよくわからない。思いきって左へ曲げてしまって、げんなりした面でいると、与八が傍へよって来て、手に筆を持添えて、
「そら、右というのは、こっちの方で、左というのは、こっちだよ、おまんまあ食う時、箸を持つのが右で、茶碗を持つのが左だよ、よく忘れねえで」
「そうかなあ、みんな、いいことう聞いたよ、おまんまあ食う時、箸う持つ方が右で、茶碗を持つ方が左だとよ、いい事う聞いた、みんな忘れんなよ」
教えられた子供は得意になって、それの新知識を更にまた他に向って移植しようとする。かくして、かりそめにも教育に従事した与八は、他教育と共に、自分を教育せねばならぬ必要を感じました。いわゆる、自ら教育せぬものには、他を教育するの資格がないことを、切実に感得しました。
そこで与八は、村の有識者――いやしくも自分より以上の智能者であると見ると、機会ある毎に就いて学ぶことに、熱心綿密を極めておりました。
七十六
与八は、自分の働く周囲が、おのずから学校となることには煩わしさを感じませんでしたが、自分の出て行く先が、偶像となることを深く怖れました。