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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

それはさきほどから隅の方に黙々としていた机竜之助の声でしたから、一同の眼先は箭を合せたように竜之助の面に注ぐと、

「切腹は御免を蒙る――」

「何と言わしゃる」

「拙者は、まだここで死にたくないから、一人でなりとも生き残って落ちてみるつもりじゃ」

「死にたくない?」

浪士たちの眼から電が発するようですけれど、竜之助の眼は少しく冴えているばかりで、その面は例の通り蒼白い。

「ふーん、死に怯れたな」

ほかの浪士は、憤激と軽蔑の眼を合せて竜之助を見る。

「拙者は死にたくない」

竜之助は冷やかなもの。

「忠義を忘れたか!」

忘れるにも、忘れないにも、竜之助には忠義の心などはないのです。前に申す通り、幕府を助けたいとか朝廷に尽すとかということは、少しも竜之助の胸には響かなかったのです。今、どこへ行っても諸国の浪士が勤王佐幕勤王佐幕で騒いでいるのがばかばかしくてたまらないのでありました。忠義のために腹を切る――楠正成が最期に似たりと浪士らは血を沸かせている間に、竜之助ばかりはどうしてもそんな気分になれないものと見えます。

「机氏」

酒井賢二郎は逸る他の連中を抑え、

「貴殿一人は死にたくないと言われる、もとより強いて死を求むるものではない、しからばこれより落ちるなり、逃げるなり、お心任せになさるがよい、さてその他の諸君」