Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや、そんな人ではない。言ってみようか、それは湯島妻恋坂のあの花のお師匠さんじゃ」

「まあ、お師匠さんに?」

お松は、絶えて久しい妻恋坂のお師匠さんのことを兵馬の口から聞いて、そぞろに昔のことが思われてたまりません。この時、町の方からがやがやと噪がしい人声、

「いや、与兵衛さん、御苦労御苦労、もうここでよろしい」

それは仙公を連れて、船大工の与兵衛に送られた長者町の道庵先生でしたから、兵馬も驚いたが、お松の方がいっそう意外な感じがして、直ぐに呼びかけようとしていますと、道庵先生はお松の方には気がつかず、与兵衛に向って、

「もうここでよろしいから帰ってくれ給え。うむ、もうどちらも大丈夫、心配することはない。野郎の方は少々跛足になるかも知れないが、身体のところは間違いっこなし、薬は飲まなくっても放っておけば自然に癒る」

「へえ、どうも有難うございます、ほんとにどうも、全く先生のおかげさまで」

与兵衛は道庵の前へしきりに頭を下げる。

「それから、あの眼の方なあ、あの眼は野郎から見ると難物だからな。しかしまあ、ああしておけば十日や二十日は持つ、そのうち江戸へ出て来るというから、来たら拙者がところへよこしなさい」