Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「もしもし、それへおいでなさる旅の旦那へ」

茶屋の中から言葉をかけたものがあります。

「エエ、お呼びなさいましたのは?」

七兵衛ふりかえると、店先でとろろ汁を食べているのは、薩峠で競争をしかけた、銀ごしらえの変な男。

「これはこれは」

さすがの七兵衛も、少し面喰って立ち止まると、

「まあ、おかけなさい、ここは名物のとろろ汁、一つ召し上っておいでなさいまし」

「お前さんは身延へ行くとお言いなすったが……」

「ええ、身延へお参詣をすましてその帰り路なんでございます」

「冗談じゃねえ」

「へへ、それは冗談でございます、身延へ行くつもりでしたけれども、途中でまた気が変ったものでございますから」

「そうだろう、それでは俺もひとつ、とろろ汁をいただきましょう」

身延へ切れたのは嘘、やっぱりこの変な男も上へのぼって行くものでありました。それにしても早い、自分がちょっと清水港で用を足している間に、本街道を早くもかけ抜いて、ここでとろろ汁を食っているのだから、七兵衛もなんだか一杯食わされたような気持がするのでありました。

「これから名代の宇都谷峠へかかるのでございますから、草鞋でも穿き換えようじゃあございませんか」