Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
がんりきは腹這いながら、左の片手を井桁の葛籠の一端へかけたが、かけたなりで、また暫くじっとして紙張の中の動静を窺う。
紙張の中は、やはり静かであって、ウンともスウとも言わぬ。
それからまた身体をずっと乗り出して、葛籠の紐へ手をかける。蟻が芋虫をひきずるように、二寸ばかりこっちへ引き出しました。
「占めた」
紙張の中には誰もいないのだ、いるにしても死んでいるか眠っている。がんりきは、モウ占めたとばかり、ずいと葛籠を引き寄せること一尺。この時、紙張の裾が、扱いたようにグッと鳴る。
がんりきは、ついと飛び退いた。一尺余りの白刃が、紙張の裾から飛び出して、がんりきの眼と鼻の上を筋違いに走って、そうしてその切尖はガッシと葛籠の一端に当る。
ついと飛び退いたがんりき。その時は、もう白刃は紙張の裾に隠れてしまって、紙張の中は前と同じように音もなければ声もない。
二尺ばかり飛び退いたがんりきはそこで脇差の柄に手をかけて、いま白刃の飛び出した紙張の裾と、葛籠の間を見ていること半時ばかり。いつまで見ていても紙張のうちは前と少しも変らない。がんりきの方もまた、最初から終いまで一言も立てないのであります。