Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
「雨が降っているようだな」
まだ本当に正気には返らないで、昏倒から醒めかかった瞬間の心持は、連々として蜜のように甘い。時雨の雫がポタリポタリと面を打つことが、かえって夢うつつの間を心持よくして、いったん醒めかかってまた昏々として眠くなるうちに、
「ああ、水が飲みたい」
で、また我に返りました。
せっかく、よい心持で、いつまでも眠りに落ちようとするのに咽喉はしきりに水を飲みたがって、
「水、水、水」
譫言のように言いつづけたが、誰も水を持って来てくれそうな者はなく、水を欲しがる竜之助の面へは雨の雫がポタリポタリと落ちて来るばかりです。
こういう時の夢には、滾々としてふき出している泉や、釣瓶から釣られたばかりの玉のような水、草叢の間を潺々と流れる清水などが断えず眼の前に出て来るもので、
「あ、有難い、水」
と言って竜之助は、それを手に掬んで口へ持って来ようとすると、煙のようになくなってしまいます。
竜之助は、これもかなり長い時の間、夢うつつの境に水を求めて昏倒していましたが、村方の方からは駕籠だけも取り戻しに来そうなものだが、それも来る様子はなし、腕を斬られて逃げたがんりきと、それと一緒に逃げたお絹の方からも何の音沙汰もなし。