Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

このとき奥で、

「御新造、いやお絹さん」

譫言のような声、これはがんりきの声。

「何か言ってるよ」

耳を澄ますと、

「御新造、いやどうも」

二人は面を見合せて、

「あれ、また何か言っている」

奥では引続いて、

「いよ、お二人様」

二人は奥を見込んで、

「眼が醒めたのかしら」

奥の声、

「もうこっちのものだ」

お絹忠作はニッコリと笑って、

「魘されているんだよ」

奥では、つづいて、

「これからがこっちの世界と出る、へん、甲州ばかりは日が照らねえ、入墨がどうしたと言うんだ、これから御新造をつれて、泊り泊りの宿を重ねて鶏が鳴く東の空と来やがる、嫉くな妬むな、おや抜きゃがったな、抜いたな、お抜きなすったな、あ痛ッ、あ痛ッ、斬ったな、汝、斬りゃがったな」

がんりきの譫言は嵩じてくる。その間にお絹は忠作を嗾かして、この小屋を逃げ出してしまいました。

五

今宵は月がよく冴えている。主婦のお徳は庭へ出て砧を打っていると、机竜之助は縁に腰をかけてその音を聞いています。

ここは篠井山の山ふところ、お徳というのは先日、峠の上で竜之助を助けて来た「山の娘」たちの宰領であります。