Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
夫婦喧嘩をすることにおいて有名な駕丁の松が茶々を入れる、一同がまたドッと笑い出す。それにもかかわらず六助は大まじめで、
「笑い事じゃない、わたしは実地に、女の怨霊というものを見たからそういうのだよ」
「お化けを見たのかい、女の」
「ああ、見たよ、女のお化けを眼のあたり見届けたことがある」
「どこで見たい、聞きたいね」
「わしが、和歌山の御城下のさる御大家に御奉公している時分のこと……」
お化けの話。浮ついていた者が六助の面を見ると、嘘ではない、ホントにお化けを見たような面をしているので、ちょっと茶化しにくいのである。
「その御大家に一人のお嬢様がおありなすった……それはそれは、よい御容貌でな、すごいほどの美しさだ。そのお嬢様が、お年は十九の春……」
六助は、自分で凄いような身ぶりをして、せりふにくぎりをつけたが、まるきり芝居気で話すのではない。
「紀三井寺の入相の鐘がゴーンと鳴る時分に、和歌浦の深みへ身を投げて死んでおしまいなすった」
紀三井寺の入相の鐘の音というところに妙に節をつけて――つまり鳴物入りで話にまた相当の凄味がついた。
お豊は六助の話を、あんまり身を入れては聞いていなかったが、この時、総身に水をかけられるような気持になりました。