Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「槍を引け! 槍を引いてくれ給え」

苦しい声。

「槍はいつでも進上致す、その代り引替えの品」

「引替えの品、承知」

「承知致したか、望月の若主人を戻すか、戻してこの槍と引替えに帰らっしゃるか」

「いかにも、槍と引替えに」

「よし、しからば誰か、望月の若主人をこれへ。遠慮は要らぬ、縄目を解いてやってくれ」

次の間から連れ出された望月の若主人、

「どうも有難うござりまする、なんともお礼の申し上げようがござりませぬ」

竜之助の前に跪く。

「早く縄を解いて上げろ」

「へえ、もう縄を解いていただきました」

「では、一刻も早く、おうちへお帰りなされ。誰かこのお方をつれてこの場をお引取りなさるがよい」

「有難うござりまする」

望月一家の人たちは、若主人を擁して大急ぎでこの場を出て行ってしまいましたが、この時もまだ竜之助は、擬いの神尾主膳の咽喉元へ突きつけた槍をはなそうともしないで、

「さて、引替えの品は確かに頂戴した、槍はこのまま進上致す、受取らっしゃれ」

「呀!」

擬いの神尾主膳は絶叫して、両手を高く挙げて虚空を掴む。

「呀!」

一座の者が敵となく味方となく仰天したのは、槍を手元へ引かないで、机竜之助が、擬いの神尾主膳の咽喉元を一突きに突き刺して、その穂先は床柱へ深く、人間もろともに縫い附けてしまったからです。