Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

抱き上げた子を、ゆすぶって、与八と言われた男は、竜之助の方へ、そのなんとも言えない慈愛の面を向けて、あちらへ行ってしまおうとするから、

「与八――」

竜之助は、あわただしく呼びとめてみました。

「与八――待ってくれ」

足が動かない――

「与八――郁太郎」

声の限りに呼ぶと、二人の姿は見えずして、光明の雲が、あたりいっぱいにかがやく。

「与八――郁太郎」

咽喉が裂けたと思われる時に、夢は覚めた――眠っていた時にありありと見えた人の面が、覚めては見えない。

「誰だ、そこへ来たのは何者だ!」

修験者の地を突き貫くような叫び。竜之助は何事が起ったのかと思う――誰かこの夜中に、ここへ来たものがあるらしい。雨も風も歇みはしないのに。

十

「誰だい、誰だい――おお痛っ」

金蔵は、しばらく起き上れないで、腰のあたりをさすると、兵馬は丁寧に介抱して、

「お怪我はないか」

「いや、もう大丈夫。お前さんは……お豊ではなかったね」

起き上れないうちから、もうお豊のことです。

兵馬は傘を拾ってやると、金蔵は立ち上って面をしかめ、

「これはどうも――ナニ、もう大丈夫でございます」