Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

お玉は申しわけのように、これだけを言った。それから二人の間には、話の蔓がしばらく切れて黙って歩いて行って、

「あれ、ここは谷村道だよ、それではお玉さん、ここでさよなら」

「あ、そうでしたねえ、さよなら」

お杉とお玉とはここで別れる。お玉に別れたお杉は、スタスタと畷道を谷村の方へ急いで参ります。

お玉は少しのあいだ立ち止って、お杉の行く後ろ影を見送っていましたが、

「わたしも急ぎましょう、今日は帰ってから古市へ呼ばれるお約束があった」

前より少し急ぎ足になって、例の黄八丈の大振袖の前を胸に合せて、袋に入れた三味線を乳呑児のように抱き、一文字の菅笠を俯向きかげんにして、わが家の拝田村の方へと急ぐのであります。

三

それから、いくらもたたない後、お玉の姿を古市の町の通りで見かけることができました。

姿は前と同じですけれど、今度は笠をかぶらず、笠の代りに頭から手拭をかけて後ろへ流し、小腋にはやはり袋に入れた三味線をかかえていましたが、

「ムクよ、もうここでよいからお帰りよ」

やさしい言葉をかけられたのは、拝田村の住居から附いて来た逞しい一頭のムク犬であります。