Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

広間では五人づれの若侍が、風流の気取りで聞いている。取巻きの連中は、忌々しい腹で聞いている。ここの二階では、死ぬつもりで聞いている。お玉は無心で、母親から伝えられたという節のままを天性の才能で唄っている。

野辺より彼方の友とては……

この時、表に待っていたムク犬が、低く唸るように声を引いて吠えました。ムク犬が声を立てることは珍らしい。しかし、この時の吠え声は人を驚かすほどに高い声ではなかったから、誰もムク犬が鳴いたとさえ気がつかなかったのを、弾きさしていたお玉の三味線にはそれがこたえて、お玉はハッと撥を取落すばかりにしました。

ムク犬の吠える時は、お玉にとっては、きっとそれが何かの暗示になります。

二声目を聞こうとしたが、それはそれだけで納まって、それからムク犬は吠えませんでした。

お玉は、いくらかの紙包を貰って備前屋を出た時分は、もう夜もかなり更けていました。門を出ればムク犬が待っていて、尾を振って迎えるはずのが、どうしたものか影も形も見せないのです。

「ムクや、ムクはどこへ行ったろう」

お玉は呼んでみましたけれども、ムク犬は声も形もあらわしません。