Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
備前屋の主人は、家族から雇人、芸妓遊女の類を悉く足留めをして、いちいち裸にするまでにして調べたけれども、品物は一つも出ては来ず、また、こいつが取ったろうと思われるような面付に見えるものは一人もありませんでした。
「どうもなんとも困ったことで、全く以て申しわけがないことじゃ」
備前屋の主人が額へ手を当て当惑するところへ、愚直らしい夜番の男が口を出して、
「昨夜わしが夜番をして、こちらの裏の方を廻ると、あの間の山のお玉が、その塀の裏の方をウロウロしていたが、お玉がなんですかえ、こちら様へお呼ばれなすったのですかえ」
「あ、お玉……」
と言って、主人を囲んでそこに集まるほどの者がみんな眼を見合せました。宵からここへ出入りをした者で、ここに面の足りないのはそのお玉ばかりでありました。
「お玉がなにかえ、この家の裏の方を……」
「へえ、お玉さんが裏の潜りのところから出て塀をグルリと廻って……」
「ははあ、お玉がかい」
一同は、お玉の名を言い合せてその眼が怪しく光りました。その時に、
「タタタ大変でござりまする、離れの中二階で……」
仲居の一人が第二の大変をその場へ知らせて来たのであります。