Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

「弁信さん、お前、誰かに斬られたんですか」

「いいえ、斬られたんなら生きちゃいませんが、わたしは斬られなかったのです。その代り、つまり、私の身代りにその卒都婆が斬られたんでしょう」

「誰が斬ったのでしょう」

「誰か知りません」

「怖いことね」

お雪は慄え上って思わず小庭の方を見廻しましたが、小春日和うららかで、子をひきつれた鶏が、そこでもククと餌を拾っているばかり。

「ちゅう、ちゅう、たこかいな……、弁信さん、お前にこれだけ上げよう」

茂太郎は頓着なしに、山から拾って来た栗の粒を数えて、一山だけを弁信の前に置き、改めてお雪に向い、

「雪ちゃん、お前にも少しわけて上げようか」

庭の鶏も、縁の上の人も、いずれも平和の気分ではあるが、お雪はなんだか鉛のように重いものが、このうららかな天気を圧して、青天白日の間に鬼火が流れるように、ゾクゾクと寒気が立ち、書院の火燈口の方を見やると、そこに微かな人の咳の声がします。

「弁信さん、お前、怖くはないの?」

と言って見た時、平然として坐っていた弁信の面の色が真蒼でありました。

二十二

宇治山田の米友は、道庵先生のために、圧倒的に説き伏せられて、とうとう上方行きの随行を承知することになってしまいました。