Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
その松林には、はるばると甲州の白根の奥から来た肉づきの豊かな年増の山の娘がいて、その火は、温かい酒と松茸を蒸しているのではないか。
「こっちへ来るようでもあるし、あっちへ行くようでもあるし」
「いやな色をした火だなあ」
駕籠の歩みが、こころもち遅くなったのは、すすき尾花の丈がようやく高くなって、歩みわずらうせいでしょう。
「だけんど、おれはこの道でおっかねえと思ったのは、たった一ぺんきりさ」
と前棒の若いのが、おじけがついて、強がりをいってみたくでもなったもののようです。
「そりゃあ、どうしてだ」
「高尾の山には天狗様がいるという話だが、おれは、三年ばかり前の晩景、この通りでその天狗様にでっくわしてしまった。なあに、鼻も高くはないし、羽団扇もなにも持っちゃいなかったし、あたりまえの旅人の風をしていたんだが、その足の迅いこと……すっとすれ違ったと思ったら、あの地蔵辻から、もう大見晴らしの上に立っていたのにおったまげて、あの時ばかりは動けなくなっちまったよ」
六
その地蔵辻の上へ駕籠を置いて、駕籠屋は一息入れています。
蜿蜒として小仏へ走る一線と、どこから来てどこへ行くともない小径と、そこで十字形をなしている地蔵辻は、高尾と小仏との間の大平です。