Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「有難うございます」
お梅は再びお辞儀をして行ってしまいます。
まもなく、見物席の背後から隠れるようにして、正面東側、そこに御簾をかけた一列の桟敷の後ろへ来て、お梅は怖々とその一端を覗いて見ました。
ここに、御簾の桟敷というのは、小屋がけとしては異例の設備であります。けばけばしくはないが、ともかく、この一列は御簾を下げてあって、ある一組の連中もここから忍んで見られるし、個人個人もまたここから多数の目を避けて、演芸だけを見得ることのような組織になっていました。
こういうことは、誰かしかるべき黒幕があって、相当の身分あるものの、市井を憚る見物のために、特に用意をしたものと見なければなりません。木戸口からは、どうもここへ案内されたものを見たことがないから、多分この表の水茶屋から案内された特別の客だけが、前約あって、ここへ送られて来るはずになっているものと見えます。すべての観覧席は、爪も立たぬほどの大入りとなって、入場謝絶に苦しんでいる際に、ここだけは充分の余裕を残して、いついかなる人をも迎え得るようにしてあります。すでに、御簾の蔭からうかがうこの席の見物の中には、頭巾を取らない武士もあれば、御殿女中かと見られる女の一団もあります。