Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
最初のうちは、彼等が仰天したほど深くはなかった霧が、歩き出すにつれて、歩一歩と深くなりまさってゆくようです。やがては峰も谷も、すすきも尾花も一様に夜霧に蔽われて、人も駕籠もその中に没入して、五十丁峠は晦冥の色に塗りつぶされてしまいました。
駕籠屋が迷いはじめたのはそれからです。本来この連中が、この慣れきった道に迷うはずがないのを、迷い出しました。
「旦那、方角がわからなくなっちまったんですが、どっちへいったもんでしょう!」
正直な二人が、ようやくのことで弱音を吐き出した時分は、もう真夜中で、彼等としては、こうも行ったら、ああも戻ったらという、思案と詮術も尽き果てたから、鈍重な愚痴を、思わず駕籠の中なる人に向ってこぼしてみたのです。
「こんなはずではなかったんですが、どっちへ行っても道へ出ないでございます、いっそ千木良か底沢へ下りてしまおうかと思いますが、その道がどうしてもわからないでございますよ」
「それを拙者に言ったって仕方があるまい」
「それはそうでございますけれども、景信から陣馬を通って上野原へ山道をする、その慣れきった山道が、今夜に限ってわからなくなってしまったのは、只事じゃございません」