Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「ははあ、雪ちゃん、お前にこの刀が盗めますか」
「眠っていらっしゃるところを、そうっと持ち出せば何のことはないじゃありませんか。それは譬えですけれども、どうでも盗めとおっしゃれば、今夜にも盗んでお目にかけますわ」
「それでは今夜、盗んでごらん」
「お約束はできませんけれど、もし、わたしが夜中に目がさめましたら、きっと盗んでお目にかけます」
「なるほど。それでは、下げ緒も向うへまわして、お前の盗みよいようにしておきましょう」
「そうして、先生、もし盗めたら、この刀を返しませんよ」
「いいとも、盗まれるのはこっちの落度、それを返してくれとはいわない」
「けれども、あやまれば返して上げます」
「返してもらわなくてもよい」
「それでも、わたしが刀を持っていたって仕方がないじゃありませんか」
「それは知らない、盗んだものの捌け口まではわしは知らない」
「おあやまりなさい」
「あやまらない」
「それじゃせっかく盗んでもつまらない」
この時、竜之助は微笑をたたえて、
「雪ちゃん、お前は盗むことばかり考えているが、もし盗みそこねたら、どうしますか」
「そりゃ先生、盗みそこねたら、罰としてお望みの物をなんでも差上げますわ」