Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「いいえ、東の方から、此方へ向いて轡の音が聞えるのよ」
「弁信さん、そりゃお前の気のせいだろう、ここは昔の古戦場だというから、昔、戦をして死んだ軍人の魂が、この河原の下に埋まっているんだろう、その軍人や、馬の魂が、お前の耳に聞えるのに違いない」
「なるほど、そう言われてみると……この川の下流にあたって、新田義興という大将が殺された矢口ノ渡しでは、どうかすると馬の蹄の足音が不意に聞えて、竜頭の甲をかぶった大将の姿が現われるということを聞きました。茂ちゃんの言う通り、いま聞えるあの轡の音も、昔ここで死んだ軍人の怨霊の仕業かも知れない、それが土の下から響いて来るのを、あたしの空耳で東の方に聞えるのかも知れない」
弁信はこう言いました。自分の耳を疑ったことのない弁信が、かえって荒誕な怨霊説に耳を傾けるのが迷いでしょう。
「そうだろう、でも、お前に聞えるものなら、あたいにも聞えそうなものだねえ」
「お待ちよ……何か、わたしは気になってならない」
弁信は見えぬ眼に四辺を見廻そうとしたが、四辺を見廻したところで、前に言う通り、ややもすれば弁信の身の丈よりも高い月見草が、頭を出している分倍河原に過ぎません。