Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

よ。お気の毒でした」

「かわいそうに」

「かわいそうなことはございません、少し思い上っていたところですから……」

神尾はだまって、お絹の横顔をながめると、緊張のない肌がぼちゃぼちゃとして、その中に濃厚な乳白色のつやが流れている。これは、たまらない多情者だと神尾が思いました。

こういう女は、生涯、幾人の男をも相手にすることができる。男から男へとうつり行く間に、前の男をわすれてしまう。だから、こういう女をつかまえて、薄情を責めるのは間違いである。世には天性、女郎になるように出来ている女があって、それが境遇上、そのところを得ずに奥様になったり、お妾になったりする女があるものだ。この女は、まさしくその一人だと神尾が重ねて思いました。

だからこの女は、浜松に生れて、神尾家に奉公し、先代の神尾に寵愛されたことは忘れている。今日まで一緒に暮らしていた福村のことも、もう忘れかけている。

娼婦の如くもてあそばるるために生れた女があるものだと、神尾は、今あらたまったようにこの女の毒に触れました。

そこで、だまって、障子の中へ入って行く途端に、自分の面が大きくお絹の見ていた鏡へうつるのを見出して、思わずクラクラと眩暈がしました。