Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

今、こうしてまともにうつされてみると、一時は、眼まいをするほどに、呪わしさと、腹立たしさを感じましたが、落着いてみると、それが裏を返して皮肉になり、わざと、見つめるだけこの傷を見つめてやろうという気になり、鏡にうつる傷の面をじっと力を籠めて見つめたものです。

「おれには眼が三ツある」

神尾は自分の面を、まともにながめて、つくづくとそう思いました。

横に連なった二つの眼は、人間並みに物をかたよらずに見る眼、別に出来上った竪の眼は何を意味する。

「何を、そんなに見つめていらっしゃるの」

お絹がいうと、

「これを、これを」

神尾は、さも痛快な心持で、眉間の傷を指さしました。最初はその傷を見るのが呪いであり、その次には皮肉であり、今は痛快な心持で指を突込まんばかりに、さして見せますと、

「悪くはありませんけれど、御自慢にはなりませんわ」

とお絹がたしなめるようにいいました。けれども、神尾主膳は、それにしょげないで、カラカラと笑いました。

その有様は、急に嬉しくてたまらない心持になったようです。たとえば、世間には両眼の見えないものもある。片眼しか用をなさないものがある。