Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

十八史略までは素読を授かった覚えのある七兵衛は、「我をして洛陽負郭二頃の田あらしめば、いずくんぞよく六国の相印を佩びんや」という文句を聞いて、それはおれの家に二反の畑さえあれば、いまさら六国の相印を佩びて苦労するにもあたらなかったにと、嘆息したものだと解釈して、夜学の先生を狼狽させたこともあるのです。

事実、七兵衛にとっては、世間の人のすべてが欲しがる金銀財宝は、無条件で手に入れることもできるし、また世間の人の羨ましがる名所ゆさんも、気の向くままにやってのけられるのだが、自分としての幸福や愉快は、そこには得られないで、こうして、あたり前の百姓として藁を打っているところに、無上の平和と愉楽のあることを思えば、世間の見るところと、求めるところと、本心のそれとは、みな逆にいっているものだとしか思われないのであります。

こうして七兵衛は、自分の早足を載せる草鞋をつくっている。雨は小やみなく降っている。近隣はいと静かで、裏の娘が織る機の音さえ、かえって物わびしい風情を添えるばかりです。

その機の音を聞くと、七兵衛は、あの娘も年頃になったが、間違いのないうちに、早くよいところへ嫁けてやりたいものだと思いました。