Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「茂ちゃん」
「何だい」
「府中の町は今、上を下への大騒ぎをやっているね」
「そうか知ら」
「何か大変が出来たのに違いない」
「何だろう」
二人もまた安き心がなく、自分たちの追われた府中の町をながめて、茂太郎は立ったまま、弁信は坐ったままで、伸び上っているけれど、その騒ぎの要領を得るには少し離れ過ぎています。
「いけない、お月様まで隠れてしまった、さっきまで霽れていた空が、すっかり薄曇りに曇ってしまったよ、弁信さん、雨が降りそうになってしまったよ」
「琵琶は止めにしよう、ね、茂ちゃん、こんな日に無理をすると悪いから」
さすがの弁信法師も、再三の故障に気を腐らして、琵琶を弾くのを断念したようです。茂太郎もまたそれが穏かだと思いました。弁信はせっかく琵琶を弾くことを断念して、静かにそれを袋に納めました。
十
府中の宿のこの大騒ぎの避難者の一人に、がんりきの百蔵があります。こういう場合において、この男は避難ぶりにおいても、抜け駆けにおいても、決して人後に落つるものではない。手が入ったと聞いて、自分が泊っていた中屋の二階から、屋根づたいに姿をくらましたのは、例によって素迅いもので、もちろん、あとに煙管一本でも、足のつくようなものを残して置くブマな真似はしないで、スワと立って、スワと消えてしまった鮮かな脱出ぶり