Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
実は観世音菩薩の御化身が、強慾な老婆をいましめの方便ということになっているのです」
人だかりは崩れて、どやどやとお神籤場の方へ行ってしまったあとに、兵馬は、十徳の老人の後ろに、まだ額面をながめています。
十徳の老人が、額面を、それからそれと見て歩いているから、兵馬とは後になり、先になり、重なり合って立ちどまることもあります。
二人が、また重なり合って立ちどまったのは、以前の柱よりは少し右の方、菊池容斎の描いた武人の大額の下。
「卒爾ながら、これは何をかいたものですか」
と兵馬は突然にたずねてみますと、老人は、ちょっと驚かされて振返ったが愛想よく、
「これは、御廐の喜三太を描いたものですな」
「ははあ」
「鎮西八郎、鎮西八郎」
そこへ、また押しかけて来た二三の若い者。
「やあ、鎮西八郎、豪勢だな。あの弓でもって、伊豆の大島で、軍船を一つひっくり返したんだから豪勢だ」
「何しろ、鎮西八郎ときちゃあ、日本一の弓の名人なんだから」
この連中は、額面の前で、しきりに勇み足を踏んで立去りましたが、その後で、例の十徳の老人は笑いながら兵馬を顧みて、
「あの国芳の額を安達ヶ原と納まって見る人と、これを鎮西八郎に見立てて帰る者が多いのですよ……どうです、この筆力の遒勁なことは。