Japanische Klassiker mit Furigana
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おおさかをあるく
大阪を歩く
直木 三十五
Lesen Sie 大阪を歩く (おおさかをあるく) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.964 Zeichen · 65 Bildschirme
私は、流すつもりではなかったのだが)――それから、帽子は、地震の時に、三つ重ねて冠っていた記憶があるから、確に、三つは持っていたのであるが、いつの間にか、なくなった。それ以来、マントは高くて買えぬし、帽子は――三つも冠っていても、なくなるのだから、一つ位きていても、すぐなくなるだろうと、未だに買わない。
私の経験から云うと、マントというものは着なければ、着ないでもすむものである。日本の冬位なら、私は、シャツさえ着ないで、いつも、済ましてしまっている。帽子に至っては市岡中学時代から、大して好まない。私の顔と帽子とは、余りいい調和だと思えないという事もあるし、私の頭がだんだん薄くなってきたから、この上、帽子をきたなら、あかんと思うからでもある。
それで、歩くには、少し、寒いにちがいない。私は、恋愛のためには、可成り歩いた事もあるし、今でも、散歩の為なら暖かい日に二三町位は、歩きもするが(だからと云って、私を軽蔑してはいけない。歩くと、決心すれば、一昨年の夏、私は、上越国境の三国峠を越えて、越後湯沢へ下駄履きのまま、出る事のできる男である)。歩いて、原稿をかくのは、これが初めてである。