Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐじんのどく
大雷雨夜の殺人 他8編
小酒井 不木
Lesen Sie 大雷雨夜の殺人 他8編 (ぐじんのどく) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.456 Zeichen · 55 Bildschirme
ところが、犯罪学的に考えてみますならば、自殺を思い止まった者が他殺を企てるということはきわめて自然な心の推移であります。栄子さんの忠告によっていったんは自殺の心を翻しても、心の打撃は容易に去るものではありません。さればこそ、ときどき溜息を洩らしたのであって、その溜息が凝って、ついに殺人という霧を心に降らしたのだと考えてもあえて差し支えはなかろうと思います。
かくて、健吉くんの殺人の動機を充分に認めることには何人も異議があるまいと思います。そこで次に起こる問題は、健吉くんがいかなる方法を用いて殺人を遂行しようとしたかということです。するとここに、健吉くんの殺人方法を推定せしめるに足るような事情が突発しました。それはすなわち、未亡人の不思議な発病であります。それは悪寒と発熱と嘔吐と下痢を主要な症候としておりまして、健吉くんが宿直の日に家を出かけると、必ずその二時間ほどあとから始まりました。このことが、三回めの発病の際あなたの注意を惹いて、あなたは、もしや亜砒酸の中毒ではないかとお考えになりました。まったくわたしどものような医学に門外漢たる者が考えても、その疑いを抱くのは当然のことであります。