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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐじんのどく

大雷雨夜の殺人 他8編

小酒井 不木

Lesen Sie 大雷雨夜の殺人 他8編 (ぐじんのどく) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.456 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしの孤児であるということが、そうした運命にわたしを導いたのですが、ほかの人たちと違って身持ちがよかったために少しばかりのお金を貯めることができました。ああいう社会へ入ると、とかく堕落しやすいのですが、わたしには生まれつきの妙な癖があって今日まで処女を保つことができたのです。その妙な癖というのは、さあ、なんといってよいのでしょう。先生はむろん、ギリシャ神話の中のナーシッサスの伝説をご承知でしょう。ナーシッサスが双子の妹を失って、悲しみのあまりある日泉を覗くと自分の姿が映り、それを妹だと思って懐かしんだというあの悲しい話を。わたしはちょうどナーシッサスが自分の身体に愛着の念を起こしたように、われとわが身体に愛着の念を起こすのでした。わたしの朋輩たちが、恋だの男だのと騒いでいるのに、わたし一人は自分自身を恋人として男を近づけるのをかえって恐ろしく思いました。男を近づけて、その男のためにわたし自身の恋人、すなわち自分の身体を奪われることが惜しかったからです。わたしはいつも一人きりになると、鏡の前に坐ってじっと、その奥にあるわたしの身体を見つめました。