Japanische Klassiker mit Furigana
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てんのはいざい
天の配剤
菊池 寛
Lesen Sie 天の配剤 (てんのはいざい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.508 Zeichen · 5 Bildschirme
自分は口惜しかった。金を取られた上に散々云いくるめられて謝罪まで、しなければならないようになったのが、残念だった。自分は臨場の巡査にまで訴えた。が、少しも取り上げては呉れなかった。お茶子達の云い分を、信じて居るらしい巡査は、その女を調べて見ることさえしなかった。
が、自分もそのうちに、ふと四等席で、自分の横に坐って居た若者の事を、思い付いた。自分が芝居のことを訊かれて、得意になって、喋って居るときに、まんまとやられたのだと云う気がした。自分は、そう気が付くとすぐ、四等席に帰って見た。其の若者は、もうそこには居なかった。
芝居を見る気持などは少しも残って居なかった。その月中の小遣を、スッカリ盗られてしまった上、間違った云いがかりをして、散々やっ付けられたことが、可なり不愉快であった。怏々として、少しも楽しまなかった。他人から学資を仰いで居た自分は、他に一銭だって算段する当はなかった。一文も小遣なしに、その月中は辛抱しなければならなかったのだ。自分はケチ/\して四等に入った事までが、不快であった。盗られてしまう金だったら、十銭でも二十銭でも、沢山使っておけばよかったと思った。