Japanische Klassiker mit Furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Lesen Sie 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.024 Zeichen · 28 Bildschirme
尤も五六年前、父の飛行具製作に手伝って、曲げた生竹が返って頬を打ったため、左半面見る影もなく潰しましたが、それは自分の過ちで、誰を怨む筋も無かったのです。
三年程前、竹田人形の細工師鶴次郎というのが、小才と男っ振りで藩の重役に取り入り、許されて幸吉の手伝いとして山に入りました。
半面の大怪我で世の女の望みを諦めて居たお通が、騙されて夫婦約束をしたのも、飛行具の秘密を易々盗まれたのも無理のないことですが、鶴次郎は、それを土産に金沢に帰り、士分に取り立てられた上、奥村主殿の娘里代をそそのかして許婚になり、次第に増長して、幸吉と飛行具、飛行術の腕比べがしたいと願い出たのです。
「――幸吉は公儀隠密に睨まれている、どうかしたら、隠密と通謀して居るかも知れない」――と言い出したのも鶴次郎でした。
早速飛行具組立の材料を大唐櫃に収め、奥村主殿自身で附いて来たのは、白山の奥で幸吉と鶴次郎の飛行術を比べ、次第によっては、幸吉を亡きものにして、藩の秘密を保とうと言った下心だったのです。
「こんなことになって居ります。私が斬られるのは覚悟の前だが、放っておくと、父さんが危い、――私の懐にある先刻の手紙、――あれを父さんに渡して下さい、お願い」