Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lesen Sie 天守物語 (てんしゅものがたり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.593 Zeichen · 42 Bildschirme
夫人 何、鷹をそらした、その越度、その罪過、ああ人間というものは不思議な咎を被せるものだね。その鷹は貴方が勝手に鳥に合せたのではありますまい。天守の棟に、世にも美しい鳥を視て、それが欲しさに、播磨守が、自分で貴方にいいつけて、勝手に自分でそらしたものを、貴方の罪にしますのかい。
図書 主と家来でございます。仰せのまま生命をさし出しますのが臣たる道でございます。
夫人 その道は曲っていましょう。間違ったいいつけに従うのは、主人に間違った道を踏ませるのではありませんか。
図書 けれども、鷹がそれました。
夫人 ああ、主従とかは可恐しい。鷹とあの人間の生命とを取かえるのでございますか。よしそれも、貴方が、貴方の過失なら、君と臣というもののそれが道なら仕方がない。けれども、播磨がさしずなら、それは播磨の過失というもの。第一、鷹を失ったのは、貴方ではありません。あれは私が取りました。
図書 やあ、貴方が。
夫人 まことに。
図書 ええ、お怨み申上ぐる。(刀に手を掛く。)
夫人 鷹は第一、誰のものだと思います。鷹には鷹の世界がある。露霜の清い林、朝嵐夕風の爽かな空があります。