Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lesen Sie 天守物語 (てんしゅものがたり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.593 Zeichen · 42 Bildschirme
夫人 ええ、武士たちの夥間ならば、貴方のお生命を取りましょう。私と一所には、いつまでもお活きなさいまし。
図書 (急きつつ)お情余る、お言葉ながら、活きようとて、討手の奴儕、決して活かしておきません。早くお手に掛け下さいまし。貴女に生命を取らるれば、もうこの上のない本望、彼等に討たるるのは口惜い。(夫人の膝に手を掛く)さ、生命を、生命を――こう云う中にも取詰めて参ります。
夫人 いいえ、ここまでは来ますまい。
図書 五重の、その壇、その階子を、鼠のごとく、上りつ下りついたしおる。……かねての風説、鬼神より、魔よりも、ここを恐しと存じておるゆえ、いささか躊躇はいたしますが、既に、私の、かく参ったを、認めております。こう云う中にも、たった今。
夫人 ああ、それもそう、何より前に、貴方をおかくまい申しておこう。(獅子頭を取る、母衣を開いて、図書の上に蔽いながら)この中へ……この中へ――
図書 や、金城鉄壁。
夫人 いいえ、柔い。
図書 仰の通り、真綿よりも。
夫人 そして、確かり、私におつかまりなさいまし。
図書 失礼御免。
夫人の背よりその袖に縋る。縋る、と見えて、身体その母衣の裾なる方にかくる。