Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lesen Sie 天守物語 (てんしゅものがたり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.593 Zeichen · 42 Bildschirme
女郎花 お待ち遊ばせ、大層風が出て参りました、餌が糸にとまりますまい。
薄 意地の悪い、急に激しい風になったよ。
萩 ああ、内廓の秋草が、美しい波を打ちます。
桔梗 そう云ううちに、色もかくれて、薄ばかりが真白に、水のように流れて来ました。
葛 空は黒雲が走りますよ。
薄 先刻から、野も山も、不思議に暗いと思っていた、これは酷い降りになりますね。
舞台暗くなる、電光閃く。
撫子 夫人は、どこへおいで遊ばしたのでございますえ。早くお帰り遊ばせば可うございますね。
薄 平時のように、どこへとも何ともおっしゃらないで、ふいとお出ましになったもの。
萩 お迎いにも参られませんねえ。
薄 お客様、亀姫様のおいでの時刻を、それでも御含みでいらっしゃるから、ほどなくお帰りでござんしょう。――皆さんが、御心入れの御馳走、何、秋草を、早くお供えなさるが可いね。
女郎花 それこそ露の散らぬ間に。――
正面奥の中央、丸柱の傍に鎧櫃を据えて、上に、金色の眼、白銀の牙、色は藍のごとき獅子頭、萌黄錦の母衣、朱の渦まきたる尾を装いたるまま、荘重にこれを据えたり。
――侍女等、女童とともにその前に行き、跪きて、手に手に秋草を花籠に挿す。