Japanische Klassiker mit Furigana
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てんのうへいかにささぐることば
天皇陛下にさゝぐる言葉
Lesen Sie 天皇陛下にさゝぐる言葉 (てんのうへいかにささぐることば) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.179 Zeichen · 12 Bildschirme
朕はタラフク食っている、というプラカードで、不敬罪とか騒いだ話があったが、思うに私は、メーデーに、こういうプラカードが現れた原因は、タラフク食っているという事柄よりも、朕という変テコな第一人称が存在したせいだと思っており、私はそのことを、当時、新聞に書いた。
私はタラフク食っている、という文句だったら、殆ど諷刺の効果はない。それもヤミ屋かなんかを諷刺するなら、まだ国民もアハハと多少はつきあって笑うかも知れないが、天皇を諷刺して、私はタラフク食っていると弥次ってみたところで、ヤミ屋でもタラフク食っているのだもの、ともかく日本一古い家柄の天皇がタラフク食えなくてどうするものか、国民が笑う筈はない。これが諷刺の効果をもつのは、朕という妙テコリンの第一人称が存在したからに外ならぬのである。
朕という言葉もなくなり、天皇服という妙テコリンの服もぬがれて、ちかごろは背広をきておられるが、これでもう、ともかく、諷刺の原料が二つなくなったということをハッキリとさとる必要がある。
人間の値打というものは、実質的なものだ。天皇という虚名によって、人間そのものゝ真実の尊敬をうけることはできないもので、天皇陛下が生物学者として真に偉大であるならば、生物学者として偉大なのであり、天皇ということゝは関係がない。