Japanische Klassiker mit Furigana
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てんま
天馬
金 史良
Lesen Sie 天馬 (てんま) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.407 Zeichen · 70 Bildschirme
辺り一面、数百千と坂をなして密集している朝鮮人の娼家の屋根が、右にも左にも上にも下にも波打っている。生温かい初夏の風に吹かれつつ誰かの詩にあるような、われ今山上に立つといった恰好で暫し突立っていると、ひたひたと寄せて来るやるせない淋しさをどうすることも出来なかった。男達が右往左往し娼女達の嬌声が高らかに響き返っていた昨夜の娼家界隈とも思われない程、辺りは森閑としている。だがこの満ちあふれる家々の中に何千という若い女が洗いざらしの藷のようにごろごろしているのに、自分は二日もすれば薄暗い妙光寺の中で寝起きせねばならないのか。玄竜はそこで二本目の煙草を取り出して火を附け、ふーと煙を吹き上げた。ぼうっと陽炎に霞んで程遠く西の彼方に天主教会堂の高く聳え立った鐘楼が見え、そこら辺りに高層建築が氷山のように群立っている。正に彼の行こうとする目標だ。それにしてもさて何処から下りて行ったものだろうかと頭をめぐらしたと思うと、彼はわれ知らずくすりと笑った。朝鮮家の屋根屋根を越えて南の麓の方を眺めた時、本町五丁目と思われる辺りに、黒い変圧器を幾つものせた異様な電信柱がふと目に附いたのだ。