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Japanische Klassiker mit Furigana

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だざいおさむとのいちにち

太宰治との一日

豊島 与志雄

Lesen Sie 太宰治との一日 (だざいおさむとのいちにち) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.591 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

二人の間になにか清潔なものさえ吾々は感じた。この感じは、誤ってるとは私は思わない。だから私は平気で二人を一室に宿泊させるのだった。――その夜も宿泊させた。

翌朝、すべての用事をさっちゃんに言いつける太宰が、珍らしく、自分で出かけて行った。だいぶたってから、一束の花を持って戻って来た。白い花の群がってる数本の強い茎を中軸にして、芍薬の美しい赤い花が二輪そえてある。

「どうだ、これは僕でなくちゃ分らん、お嬢さんに似てるだろう。」

さっちゃんを顧りみて太宰は言う。照れ隠しらしい。これだけは自分で買って来たいと思ったのだ。そしてそれを、お嬢さんへと言って私に差出した。

私たちは残りのウイスキーを飲みはじめた。女手は女中一人きりなので、さっちゃんがまたなにかと立ち働く。そこへ、八雲から亀島君がやって来、筑摩の臼井君もまた立ち寄った。暫くして、太宰は皆に護られて帰っていった。背広に重そうな兵隊靴、元気な様子はしているが、後ろ姿になにか疲れが見える。疲れよりも、憂欝な影が見える。

それきり、私は太宰に逢わなかった。逢ったのは彼の死体にだ。――死は、彼にとっては一種の旅立ちだったろう。