Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「ダブックウ」ひょうりゅうき

「太平洋漏水孔」漂流記

小栗 虫太郎

Lesen Sie 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.264 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

これは、紀元前カルタゴの航海者ハノンが発見したのが始め。帆船のころは、無風と環流のためそこを出られなくなり、舵器には馬尾藻がぬるぬると絡みついてしまう。そういう、なん世紀前かしれぬボロボロの船、帆柱にもたれる白骨の水夫、それを、死ぬまで見なければならぬ新遭難船の人たち。絶望、発狂、餓死、忍びよる壊血病。むくんだ腐屍の眼球をつつく、海鳥の叫声。じつに、凄惨といおうか生地獄といおうか、聴くだに慄っとするような死の海の光景も、いまは藻海のとおい過去のことになっている。

では、海に魔境は絶対ないと云えるのか※(感嘆符疑問符、1-8-78) そういうと、折竹は呆れたような顔をして、

「オイオイ、俺だからいいようなもんの、他人には云うなよ。今どき、藻海なんて古物をもち出すと、君の、魔境小説作家たる資格を疑うものがでてくるからね。だが、じっさい海には魔境といえるものが、少ない。彼処に一つ、此処に一つと……マアそれでも、三つくらいあるだろう」

全然ないと思われた海洋中の魔境が、折竹の話によれば三つほどあるという。ゆけぬ魔海――それはいったい何処のことだろう。また、陸の未踏地のごとく全然人をうけつけぬ、その海の魔境たる理由? しかも、それがわが大領海「太平洋」