Japanische Klassiker mit Furigana
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「ダブックウ」ひょうりゅうき
「太平洋漏水孔」漂流記
小栗 虫太郎
Lesen Sie 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.264 Zeichen · 37 Bildschirme
父はいま、サモア酒の中毒で廃人も同様。兄も、父に見ならって盛んにサモア酒をのんでいます。それも、みんなドイツ領事の薦めることなんですわ。私も、幼な心に見過せなくなりました。まだ去年といえば十一でしたけど、父と兄を諫めたことがあります。するとそれが、なにかドイツ領事に危険なものに見えたのでしょうか。私を、こっそり捕まえて貿易船に抛りこみ、ここの岩礁のうえで、ポンと放したのです」
この、天人ともに許さぬ白人の暴戻は、キューネをさえ責めるように衝いてくる。まったく、ナエーアが啜り泣きながらいうように、サモアへ帰れば殺されるだろうし、といって、此処に一生いるくらいなら死んだほうが増しだという。まして、この“Nord-Malekula”は、けっして安全な地ではないのだ。
「私、まだここには一年しかいませんけど、時々、おそろしい高潮が襲ってくるのです。その時は、木へのぼって、ぶるぶる顫えていなければなりません。そしてその潮は、ここの果実という果実をすっかり持っていってしまうのです。ねえ坊や、これから坊やとオジチャンとオネエチャンと三人で、どこか安楽な島へでもゆこうじゃないの」