Japanische Klassiker mit Furigana
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たろうぼう
太郎坊
幸田 露伴
Lesen Sie 太郎坊 (たろうぼう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.863 Zeichen · 16 Bildschirme
」
「ヤ、こりゃあ詰らないことをうっかり饒舌った。ハハハハハ。」
と紛らしかけたが、ふと目を挙げて妻の方を見れば妻は無言で我が面をじっと護っていた。主人もそれを見て無言になってしばしは何か考えたが、やがて快活な調子になって、
「ハハハハハハ。」
と笑い出した。その面上にははや不快の雲は名残無く吹き掃われて、その眼は晴やかに澄んで見えた。この僅少の間に主人はその心の傾きを一転したと見えた。
「ハハハハ、云うてしまおう、云うてしまおう。一人で物をおもう事はないのだ、話して笑ってしまえばそれで済むのだ。」
と何か一人で合点した主人は、言葉さえおのずと活気を帯びて来た。
「ハハハハハ、お前を前に置いてはちと言い苦い話だがナ。実はあの猪口は、昔おれが若かった時分、アア、今思えば古い、古い、アアもう二十年も前のことだ。おれが思っていた女があったが、ハハハハ、どうもちッと馬鹿らしいようで真面目では話せないが。」
と主人は一口飲んで、
「まあいいわ。これもマア、酒に酔ったこの場だけの坐興で、半分位も虚言を交ぜて談すことだと思って聞いていてくれ。ハハハハハ。まだ考のさっぱり足りない、年のゆかない時分のことだ。