Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶにんりしょうき
夫人利生記
泉 鏡花
Lesen Sie 夫人利生記 (ぶにんりしょうき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.693 Zeichen · 26 Bildschirme
先刻のままで、洗いさらした銘仙の半纏を引掛けた。
「先刻は。」
「まあ、あなた。」
「お目にかかったか。」
「ええ、梅鉢寺の清水の処で、――あの、摩耶夫人様のお寺をおききなさいました。」
渠は冷い汗を流した。知らずに聞いた路なのではなかったのである。
「御信心でございますわね。」
と、熟と見た目を、俯目にぽッと染めた。
むっくりとした膝を敲いて、
「それは御縁じゃ――ますます、丹、丹精を抽んでますで。」
「ああ、こちらの御新姐ですか。」
と、吻として、うっかり言う。
「いや、ええ、その……師、師匠の娘でござりまして。」
「何ですね、――ねえ、……坊や。」
と、敷居の内へ……片手づきに、納戸へ背向に面を背けた。
樹島は謝礼を差出した。出来の上で、と辞して肯ぜぬのを、平にと納めさすと、きちょうめんに、硯に直って、ごしごしと墨をあたって、席書をするように、受取を――
記
一金……円也
「ま、ま、摩……耶の字?……ああ、分りました。」
「御主人。」
と樹島が手を挙げて、
「夫人のお名は、金員の下でなく、並べてか、……上の方へ願います。」
「あ、あ、あい分りました。」
「御丁寧に。……では、どうぞ。