Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶにんりしょうき
夫人利生記
泉 鏡花
Lesen Sie 夫人利生記 (ぶにんりしょうき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.693 Zeichen · 26 Bildschirme
と言伝えて、申すまでもなく、学者が見ても、ただ心ある大人が見ても、類は違うであろうけれども、五弁の小さな白い花を摘んで、小児たちは嬉しがったものである。――もっとも十ぐらいまでの小児が、家からここへ来るのには、お弁当が入用だった。――それだけに思出がなお深い。
いま咲く草ではないけれども、土の香を親しんで。……樹島は赤門寺を出てから、仁王尊の大草鞋を船にして、寺々の巷を漕ぐように、秋日和の巡礼街道。――一度この鐘楼に上ったのであったが、攀じるに急だし、汗には且つなる、地内はいずれ仏神の垂跡に面して身がしまる。
旅のつかれも、ともに、吻と一息したのが、いま清水に向った大根畑の縁であった。
……遅めの午飯に、――潟で漁れる――わかさぎを焼く香が、淡く遠くから匂って来た。暖か過ぎるが雨にはなるまい。赤蜻蛉の羽も、もみじを散して、青空に透通る。鐘は高く竜頭に薄霧を捲いて掛った。
清水から一坂上り口に、薪、漬もの桶、石臼なんどを投遣りにした物置の破納屋が、炭焼小屋に見えるまで、あたりは静に、人の往来はまるでない。
月の夜はこの納屋の屋根から霜になるであろう。