Japanische Klassiker mit Furigana
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めおとのあさ
夫婦の朝
山本 周五郎
Lesen Sie 夫婦の朝 (めおとのあさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.008 Zeichen · 22 Bildschirme
。それなのにまたこんな、……こんな無法なことを云って寄来すなんて、貴方はお由美をどう思っていらっしゃるのですか」
「もっと静かに話したらどうです、そんなに一途に怒られても仕様がない、それでは相談が出来ませんよ」
新五郎は唇を左へ歪めながら、まるでお由美の怒りを楽しんででもいるように見上げた。
「相談などする必要はございません、先日お金を都合して差上げたことがわたくしの落度でございました。これで失礼いたします」
「お待ちなさい」
新五郎は少しも騒がずに云った。
「お帰りになるなら止めようと云わないが、明朝までに五十両、待っていますよ」
「そんなこと、……お断り申します」
「無情なことを云うものじゃない、今こそこんなに落魄れているが、貴女にとってはこれでも一度は良人と呼ばれた躰ですよ」
「なにを仰有います」
「なにをって、……嘘だとでも云うんですか」
唇を歪め、片方の眉を吊上げながら、相変らず冰のように冷たく静かな口調だった。
「貴女が十五で拙者が十九の春、秋田の八橋の丘で行末を語り合ったあのときのことを、貴女はまさか忘れはしないでしょう」
「沼部さま」
お由美はさっと色を変えた。