Japanische Klassiker mit Furigana
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めおとのあさ
夫婦の朝
山本 周五郎
Lesen Sie 夫婦の朝 (めおとのあさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.008 Zeichen · 22 Bildschirme
……まえにも記した通り寡黙の質で、別に世故に長けたところがある訳でもないが、駈引の要る留守役という職を実に手際よく取仕切るので、内外の評も極めて好く、家中の衆評は未来の勘定奉行と決っていた。
お由美は嫁いで来てから暫くのあいだは、黙って冗談も云わない良人が如何にも近付き悪く、咳払いを聞いてもはっと胸を躍らせるほどであったが、いつか次第に気心が知れて来て、
――こんないいお方だったのか。
とようやく気付いたときには、いつか自分が良人の静かな愛情にしっかりと包まれているのを知って、身の顫えるような歓びを感じたのであった。
――由美は仕合せ者よ。
既に三年になる此頃でも、折に触れては心からそう呟くほど、お由美の生活は幸福に溢れていたのである。
「半之助はもう出立したかな」
明くる夜も三右衛門はそう云った。
「若い時分に道楽をするくらいの者は、いちど眼が覚めると吃驚するほど変るものだ。……きっと半之助もよくなって帰るぞ」
「そうあって呉れると宜しゅうございますが」
「早くいい信が見たいな」
そんなことを話し合ってから、五日ほど経った或朝だった。
お由美が出仕する良人の支度を手伝っていると、家士の彦右衛門が一通の書面を持って入って来た。