Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

「――ほんまに腰が抜けてしもた」

と、婆さんは寝ついてしまった。

あわてて按摩を雇ったり、見よう見真似の灸をすえてやったりしたが、追っ付かず、「どんな病気もなおして見せる」という看板の手前、恥かしい想いをしながらこっそり医者をよんで診せると、

「――こりゃ、神経痛ですよ。まあ、ゆっくり温泉に浸って、養生しなさい。温泉灸療法でもやることですな」

と、知っていたのか、簡単に皮肉られて、うろたえ、まる三日間二人掛りで看病してやったが、実は到頭中風になってしまっていた婆さんの腰が、立ち直りそうにもなかった。

「――これももと言うたら、あんたらがわてをこき使うたためや」

と、おかね婆さんは大分怪しくなって来た口調でぼそぼそぼやくし、宿や医者への支払いは嵩む一方だし、それに、婆さんに寝込まれているのは「医者の不養生」以上に世間にも恰好がわるい話だと、おれは随分くさってしまったが、お前ときてはおれ以上、

「――もう、こうなっては、宿の客ひきをするか、どろんをきめるか、どちらかですな」

と、何ともいいようのない顔で苦り切っていた。

宿の客ひきもどろんも、どちらもいずれ劣らずお前らしくて似合っていると、おれはおかしかったが、しかし、まさか婆さんの中風がなおるまで客ひきをするほど殊勝なお前でもあるまいと、ひそかに考えていたところ