Japanische Klassiker mit Furigana
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かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme
まず、手始めに広告取次社から貰った芝居の切符をひそかにかくれてやったり、女の身で必要もない葉巻を無理にハンドバックの中へ入れてやったり、機嫌をとっていた。
それを察した相手が、安全なうちにと、暇をいただきたい旨言い出すと、お前は、
「――どうして、そんなこと言うんです。×子さん、何故、居て下さらんのか」
と、ぼろぼろ泪をこぼして、浅ましい。嘘の泪が本当とすれば、恐らく折角手折ろうとした花に逃げられる悲しさからだろうか。まさか、と思うが、しかし、存外、そんなところもあるお前だったかも知れない。
泣かれて、女事務員は辞職を思い止まった――というから、女というものほど当てにならぬものはない。
そんな風に、お前の行状は世間の眼にあまるくらいだったから、成金根性への嫉みも手伝って、やがて「川那子メジシンの裏面を曝露する」などという記事が、新聞に掲載されだした。
勿論、大新聞は年に何万円かの広告料を貰っている手前、そんな記事はのせたくものせなかったから、すべて広告を貰えない三流新聞に限られていたが、しかし、お前は狼狽した。
「――どうしましょう?」
そう言って、おれの顔を見たその眼付きに、何故かおれはがっかりした。