Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めおとぜんざい

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (めおとぜんざい) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.643 Zeichen · 61 Bildschirme

Aozora Bunko

それでも、一度だけだが、板の間のことをその場で指摘されると、何ともいい訳けのない困り方でいきなり平身低頭して詫びを入れ、ほうほうの体で逃げ帰った借金取があったと、きまってあとでお辰の愚痴の相手は娘の蝶子であった。

そんな母親を蝶子はみっともないとも哀れとも思った。それで、母親を欺して買食いの金をせしめたり、天婦羅の売上箱から小銭を盗んだりして来たことが、ちょっと後悔された。種吉の天婦羅は味で売ってなかなか評判よかったが、そのため損をしているようだった。蓮根でも蒟蒻でもすこぶる厚身で、お辰の目にも引き合わぬと見えたが、種吉は算盤おいてみて、「七厘の元を一銭に商って損するわけはない」家に金の残らぬのは前々の借金で毎日の売上げが喰込んで行くためだとの種吉の言い分はもっともだったが、しかし、十二歳の蝶子には、父親の算盤には炭代や醤油代がはいっていないと知れた。

天婦羅だけでは立ち行かぬから、近所に葬式があるたびに、駕籠かき人足に雇われた。氏神の夏祭には、水着を着てお宮の大提燈を担いで練ると、日当九十銭になった。鎧を着ると三十銭あがりだった。種吉の留守にはお辰が天婦羅を揚げた。