Japanische Klassiker mit Furigana
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めおとぜんざい
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (めおとぜんざい) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.643 Zeichen · 61 Bildschirme
一度話をしたい(一同舌をしたい)と柳吉だけが判読出来るその手紙が、いつの間にか病人のところへ洩れてしまって、枕元へ呼び寄せての度重なる意見もかねがね効目なしと諦めていた父親も、今度ばかりは、打つ、撲るの体の自由が利かぬのが残念だと涙すら浮べて腹を立てた。わざと五つの女の子を膝の上に抱き寄せて、若い妻は上向いていた。実家へ帰る肚を決めていた事で、わずかに叫び出すのをこらえているようだった。うなだれて柳吉は、蝶子の出しゃ張り奴と肚の中で呟いたが、しかし、蝶子の気持は悪くとれなかった。草履は相当無理をしたらしく、戎橋「天狗」の印がはいっており、鼻緒は蛇の皮であった。
「釜の下の灰まで自分のもんや思たら大間違いやぞ、久離切っての勘当……」を申し渡した父親の頑固は死んだ母親もかねがね泣かされて来たくらいゆえ、いったんは家を出なければ収まりがつかなかった。家を出た途端に、ふと東京で集金すべき金がまだ残っていることを思い出した。ざっと勘定して四五百円はあると知って、急に心の曇りが晴れた。すぐ行きつけの茶屋へあがって、蝶子を呼び、物は相談やが駈落ちせえへんか。
あくる日、柳吉が梅田の駅で待っていると、蝶子はカンカン日の当っている駅前の広場を大股で横切って来た。