Japanische Klassiker mit Furigana
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しっさくき
失策記
豊島 与志雄
Lesen Sie 失策記 (しっさくき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.228 Zeichen · 9 Bildschirme
然し実世間はみなそうしたものであろう。私は自分の迂濶さを笑い、豁然と眼が開けた思いをした。そしてその論理を、いろいろのことに適用してみて、ひとり楽しんだのである。例えば、河に落ちた者から救いを求められる時、河に落っこちるような粗忽な者には危なくて手は差出されぬ、なんかと。
然るに、数日後、学校の教師をしてる或る友人が来て、是非たのむから、至急二百円ばかり拵えてくれと云うのだった。――母が肺炎で入院したので、その入費にと、学校の相互扶助会みたいなものから、五百円借りることにしていたところ、その月は申込人が多く、而も申込順に依るという規則は如何ともし難く、一ヶ月延びることになった。然し母の方は案外早く回復し、一日も早く退院したがっている。そこで茲に二百円ばかりなければ、母を病院から引取ることが出来ないのだそうである。
なるほど人はいろいろなことに金がいるものだなと、私はひとり感心しながら、うちしおれてる謹直な教師の友人を眺め、気の毒な思いをしたが、さて処置に困った。彼はうすうす私の状態を知っていて、それほど多くの借金をするくらいだから、二百円ばかりならどうにかなるだろう、と云うのである。