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Japanische Klassiker mit Furigana

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きかいなさいかい

奇怪な再会

芥川 竜之介

Lesen Sie 奇怪な再会 (きかいなさいかい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.996 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

男はお蓮のいる家へ、不相変通って来る途中、何か間違いに遇ったのかも知れない。さもなければ忘れたように、ふっつり来なくなってしまったのは、――お蓮は白粉を刷いた片頬に、炭火の火照りを感じながら、いつか火箸を弄んでいる彼女自身を見出した。

「金、金、金、――」

灰の上にはそう云う字が、何度も書かれたり消されたりした。

五

「金、金、金、」

そうお蓮が書き続けていると、台所にいた雇婆さんが、突然かすかな叫び声を洩らした。この家では台所と云っても、障子一重開けさえすれば、すぐにそこが板の間だった。

「何? 婆や。」

「まあ御新さん。いらしって御覧なさい。ほんとうに何だと思ったら、――」

お蓮は台所へ出て行って見た。

竈が幅をとった板の間には、障子に映るランプの光が、物静かな薄暗をつくっていた。婆さんはその薄暗の中に、半天の腰を屈めながら、ちょうど今何か白い獣を抱き上げている所だった。

「猫かい?」

「いえ、犬でございますよ。」

両袖を胸に合せたお蓮は、じっとその犬を覗きこんだ。犬は婆さんに抱かれたまま、水々しい眼を動かしては、頻に鼻を鳴らしている。

「これは今朝ほど五味溜めの所に、啼いていた犬でございますよ。