Japanische Klassiker mit Furigana
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きかいなさいかい
奇怪な再会
Lesen Sie 奇怪な再会 (きかいなさいかい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.996 Zeichen · 43 Bildschirme
「ええ、あれもやっぱり白犬でしたわ。」
「そう云えばお前があの犬と、何でも別れないと云い出したのにゃ、随分手こずらされたものだったけ。」
お蓮は膝の小犬を撫でながら、仕方なさそうな微笑を洩らした。汽船や汽車の旅を続けるのに、犬を連れて行く事が面倒なのは、彼女にもよくわかっていた。が、男とも別れた今、その白犬を後に残して、見ず知らずの他国へ行くのは、どう考えて見ても寂しかった。だからいよいよ立つと云う前夜、彼女は犬を抱き上げては、その鼻に頬をすりつけながら、何度も止めどない啜り泣きを呑みこみ呑みこみしたものだった。………
「あの犬は中々利巧だったが、こいつはどうも莫迦らしいな。第一人相が、――人相じゃない。犬相だが、――犬相が甚だ平凡だよ。」
もう酔のまわった牧野は、初めの不快も忘れたように、刺身なぞを犬に投げてやった。
「あら、あの犬によく似ているじゃありませんか? 違うのは鼻の色だけですわ。」
「何、鼻の色が違う? 妙な所がまた違ったものだな。」
「この犬は鼻が黒いでしょう。あの犬は鼻が赭うござんしたよ。」
お蓮は牧野の酌をしながら、前に飼っていた犬の鼻が、はっきりと眼の前に見えるような気がした。